わらべ

って言う話。 獣人は荒っぽい種族だと言うのがこの世界の共通の認識だ。動物としての本能が強いらしく、暴力的だったりする。 だから、言葉が悪いかもしれないが、獣人族の犯罪はそう珍しいものでもない。ただ、彼女の場合は目を引くものがあった。 獣人族がおさめる西の国の貴族である彼女は背が高くておっとりとした優しげな顔をしていた。
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彼女が30人以上もの人間を殺して食べたなんてとても信じられなかった。 使用人や召使い、果ては領地の幼い子供をさらっては殺して煮込んでスープに。小さく切り刻んで焼いてソースをかけてナイフとフォークで上品に食べる姿を想像するとゾッとした。 「初めまして。お会いできて嬉しいわ」 優雅にそう言って彼女がアクリル板の向こうの粗末な椅子に腰掛けた。 「何人殺したのか覚えてますか?」 雑談も程々に本題をぶつけると彼女はううんと悩ましげな声を上げた。 「もちろん覚えてないわ……。だって、あなた、今まで食べた魚の数を覚えていらして?」 心臓が縮みあがるような感覚を押さえ込んで、口を開いた。 「人間の肉って美味し

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