潜水艦7号

偶然の不運と幸運
まだ私が若かった頃、自宅近くにある空港に旅客機が墜落する事故がありました。大勢の方が亡くなる、惨事です。 一般に航空機による事故の確率は自動車よりも遥かに低く、あの9.11テロのあとには自動車移動を選択するアメリカ人が増えたために逆に死者が増えたと聞いた事があります。 しかしそれでも、事故を完全には防げない。 そうして究極の選択を迫られた時、人は何を選ぶのか。 主人公の父親が下した決断はあまりに重いものでした。恐らくそれは幼き主人公自身が耐えられないほどであろうに。 そのため、主人公にはその真実が伏せられ、真反対の説明がなされました。 しかし、それでもなお真実は強かった。 隠された記憶が甦った時、主人公は己の身に起きた不運と課せられた宿命に向き合います。 実は前述の飛行機事故があった時、その落ちた機体は私の頭上50メートル上空をかすめて飛行したのです。その瞬間「今日の飛行機は随分とエンジンが不調だな」と思った記憶です。 もしも、あと数百メートル手前で墜落していたら、私はここにいません。 偶然による不運と、偶然による幸運。 生き残ったその命にどのような意味があるのかは、その人自身が積み上げていくものなのでしょう。 明るい未来を象徴するラストシーンを堪能して欲しい作品です。
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潜水艦7号さん いつもながらの素敵なレビュー、ありがとうございます。 お書きになっているのは中華航空機墜落事故ですね。記録でしか知りませんでしたが、事故の時、お側にいらっしゃったんですね。運命は本当に分かりませんね。 今後とも宜しくお願いします。 みぐ🐧
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