九藤 朋

美しくやがて切ない宴かな
この作品は既に多くの人の知り、また愛されるところである。妖刀遣いの蘭丸と、陰陽師である亜緒は「左団扇」をかつかつで経営しながら生きている。すれ違う人、人ならざるもの、それら全てがこの左団扇を彩り、そして通り過ぎてゆく。花見の一幕一幕を見送るような心地にも、幻燈を見ているような心地にもさせられる。情景描写、心理描写、時に挟まれるウィットに富んだ作品は、読めば花魁に呼ばれた初心な男のようにふらふら吸い寄せられずにはおられない。物語は後半に進むにつれ人も増え、話も複雑化していくが、それらを見事に纏め上げている。私はこの膨大な屏風絵のような物語、まるで生きているように脈打つそれと、作者に心より敬意を表する。
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こんな素敵なレビューをいただけるなんて、思ってもみませんでした。 九藤 朋さんは、すでに書籍を書店の棚に置かれているプロの作家さんです。 本作『左団扇奇譚』は当分エブリスタでしか更新しないことになりますが、引き続き御愛顧していただけると嬉しいです。 尊敬する作家、九藤 朋さんへ最大の感謝と敬愛を込めて。  2021/06/25 音叉♪

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