昭島瑛子

過去を乗り越えて光ある未来へ歩んでいく(オムニバスレビュー・ディープ編)2/2
ラウドシティからは遠く離れた日本の地方都市を舞台にした作品に、ユージの母親と同名の人物が出てきているのでは? と思ったからです。 しかし『この人と結婚するんだと思った』ではユージやラウドシティについて一切触れられず、浦添貴志の視点で語られていきます。 「もしかしたら私の記憶違いかも」と思い、そのまま読み終えました。 そしてその後「三人目の祝辞」を読み、やはり『この人と結婚するんだと思った』の篠宮牧はユージの母親であったと気づいたときには「うわー、すごい!」と思いました。雲灯さんという一人の作家の作品を追いかけてきたからこそ得られた感動だと思いました。 ちなみに「三人目の祝辞」ではいろいろなことを知った大人のように描かれている貴志ですが、『この人と結婚するんだと思った』では貴志自身が抱えている悩みと向き合い、自分の本当の欲求に気づき、牧とともに人生を歩む決断をする過程が描かれます。 自分の本当の欲求と向き合って未来を歩んでいくというストーリーそのものが、『ラウドシティ・オムニバス』の最後の3編と通じるものがあると思いました。 「三人目の祝辞」で牧と貴志の結婚式に出席し、祝辞もやると決めたユージがフルネームを告げるシーンで「ユージ・カリヴァン」ではなく「篠宮優志」と名乗ったのが、ユージがすべてを乗り越えた証ではないかと思いました。 優しい志。これほどユージにふさわしい名前はありません。このレビューを書きながら気づいたのですが、「志」の字は貴志ともつながっていました。 『兄はロボット』本編のラストは、プライムの暴走を止めるためにレイがプライムと統合して、ずっとユージの相棒として寄り添ってきたレイがレイとしての記憶を失います。 何もかもがうまくいく「わかりやすいハッピーエンド」とは言えないラストです。 でも、『ラウドシティ・オムニバス』の最後の3編を通じて、フィンセントやレイを失った後でもなお、ユージはたくさんの人に囲まれたくさんの愛や慈しみを受けているのだとわかります。 この3編が『兄はロボット』の真のエンディングであり、ユージ・カリヴァン=篠宮優志がしっかりと地に足をつけてこれからの未来を歩んでいく光あるラストだと思いました。 「三人目の祝辞」で、ユージだけではなく兄ロボの読者までもがユージの明るい未来をはっきりと見ることができたのではないかと思います。
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昭島瑛子さま かねてより「ライト編とディープ編を用意している」と伺って「わくわく(*´꒳`*)」と思っていた雲灯ではございましたが、まさかディープ編が二編に分かれた超大作だとは誰が予想しましたでしょうか。 感想をいただいた時にノミの心臓が飛び跳ねて卒倒するかと思いました。無事に生きて返信を書いております。 作者というものは得てして、執筆時には自分が何を書いているか皆目わからないというのに、読者様の温かい言葉を通じて何をしたかったのかを教えていただくことが多々あります。 今回の暖かいご感想もまさにその実例というべきでありましょう。 真のエンディングともいうべきオムニバス・未来章3編を書かせ
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雲灯さま 長いレビューを朝っぱらから送りつけて失礼いたしましたm(_ _)m ディープ編はメモアプリで書いているときから長くなりそうだなと思い、もしかして前後編になるかもと思ってエブリスタのレビュー欄に貼りつけてみたら2280字くらいありました。 (文字数感覚なさすぎる) さすがに3部構成は長すぎる! と思って冗長な部分をあわあわ削ってギリギリ2000字以内に収めました。 ユージを幸せにするのが使命。本当にそうですね。 みかんさんと同様にユージの成長を親目線で見守っていたからこその涙腺崩壊だったのだと思います。 ユージとクリスの結婚式ではみかんさんと二人で祝辞を述べたいです(笑)
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