熟成みかん

主題が一貫している。
作品の主題である「好奇心」の不安定でおどろおどろしい一面について弱火でじわじわと炒められるかのように表現されていて心が動きました。 うさぎの殺害未遂も、家族を作ることも、人をどんな風に頃すのかも、 「知りたい。ただそれだけ。」 好奇心というものの本質についての表現に成功してると思います。 オチも素敵ですね。 「知りたい」という気持ちだけを突き詰め、人類と世界を知りつくしてもなお残ったものは「死に対する好奇心」であり何も残せなかった主人公に哀愁を感じます。 好奇心の危うさ、その限界について表現した素敵な作品だと思います。 気になった点は主人公の設定です。 主題である「好奇心」の本質についてははっきりと表現できていると感じましたが、主人公自身のエピソードや心理描写が不足しており、主人公が「好奇心」というものを具現化しただけの舞台装置に感じ、人間性を感じることができなかったのが少し寂しいかなと。 なぜうさぎはどのように死ぬと思ったのか? なぜ死に対して興味がわいたのか? なぜ家族を作ろうと思ったのか? といったようにもっと主人公を深掘りできるところはあるのではないかと思いました。 人間味のない主人公の不気味さが作品の肝だとするならば大変的外れなアドバイスですが気になったため書かせていただきました。 総評としては 「好奇心の危うさ」についてわかりやすく小説のような表現に変えた小論文のような作品な印象です。 それはそれとして私はとても好みですが 「好奇心に取り憑かれた主人公の一生」 という小説としてみると少し物足りないかな。 と思いました。 大変興味深い作品でした。 素敵な作品ありがとうございました。
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感想ありがとうございます! 確かに主人公の感情を表現しなさすぎたと思います。 私の小説はそういう風に書きがちになってしまっていると自覚でき、とても参考になりました。 (初めて感想をもらったので、嬉しすぎて手が震えています)
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