南河天狼

世界観が文章に滲み出る、ハイセンスな一作
第一章一節までの所感となります。 作者様の色がある、独特の文章に惹きつけられました。 一人称の地の文は過度に砕けておらず、作品特有の世界観が語り口に表れていて躍動感があります。 バトルシーンも緩急があり、静と動の使い分けが非常に洗練されている印象を受けました。 冒頭の某ネット掲示板風なページは再現度が高く、現実と異世界のギャップを上手く引き立てています。 リアルな日本を描くのではなく、あえてネット掲示板の様子を描くというのは、主人公の転生前の性格も暗示できて秀逸な表現方法ですね。 不穏な始まりに過度に言及せず、記憶を失くした主人公と読者の視点をほぼリンクさせているるのも面白いと感じました。 ところどころ出てくる「神様」のなんとなくイラッとするような、憎めないようなそうでもないような、どこか曖昧ながらもインパクトの強いキャラ付けも素敵です。 主人公や主人公の祖父といった他のキャラクターたちも、厚みのある魅力的な人物像ですね。 過去を知りたがらない主人公が、果たしてこれからどのように向き合っていくのか。或いは向き合わない道を選ぶのか……。 意味深な煽り文も相まって、先が気になる作品です。
1件・1件
レビューありがとうございます。 まずこのレビューを読ませて頂いて、南河天狼さんの文章力に脱帽しています。 上記の中で触れて頂いています通り、主人公の目線を読者にリンクさせる様に書けたら、と思っていたので、そう感じて貰えたのなら嬉しいです。 この度は相互レビューという企画でしたが、また機会がありましたら先も読み進めて頂けたらと思います。 ありがとうございました。
1件

/1ページ

1件