たとえば紅茶に入れるのに、砂糖より甘いものがあるとしたら
 主人公・ミラは星空に憧れていたが、入学した高校に天文部はなかった。教室で駄々をこねる彼女を見かねた清水の提案か、それともミラがどうしてもと主張したのか、ふたりは冬休み直前のある夜、ふたご座流星群を観察するため校舎に忍び込む。  もどかしいことに、その時はどちらも胸の内を言い出すことが出来なかった。そうして10年以上経ってしまったところから物語は始まる。  現代ファンタジーとして恋愛は珍しくはない。だがアラサーになった男女の、おそらくラストチャンスであろう恋愛事情を、これほど爽やかに描いている作品はそう多くないだろう。  ふたりの恋はかつて、「ふたりで夜の校舎に忍び込む」という、告白にはうってつけの大きな機会を逃してしまっている。その為にどうしても、いちど高校生だったあの日に戻ってやり直す必要があった。地球上だけれど時間の離れた場所にいる、というアミツカイ達を訪れたのも、星屑のスピカによる必然的な導きだったのかも知れない。  この作品の特徴はやはり、透明感すら感じる乙女な雰囲気――肯定的な意味と理解していただきたい――であろう。それは紅茶に入れた星屑のようにミラと清水のファンタジーに合っているし、ならばこそ「星屑のスピカ」という乙女座に因んだネーミングに結びつくのだろうから。
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感想ありがとうございます!! どろどろしてない恋愛を書きたかったので伝わって嬉しいです😭
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こちらこそ、ありがとうございます。 レビューを送っていいかどうか毎回悩むので、そう言っていただくだけで、とても救われます😊
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