無心であること
 児童養護施設でアートセラピーのボランティアをしている知人に、「障がいのある子たちは、なぜだろう? とても可愛い」と、聞いたことがある。この作品を読んで、そのことを思い出した。  むつかしい話ではない。それだけに読者はナツの視線で、あるいは子猫を見守るフユやキャンディ、コウタになって、一緒に冒険することができる。まっすぐな気持ちで、愛する人のため無心に前へ進んでいく子猫の姿は、あぶなっかしさはあるものの、とても愛らしい。  ナツは猫で、子供で、与えられるばかりで何も持っていないからこそ……と、深読みする必要はないだろう。いち01さんの描き出した世界は魅力的なキャラクターに満ちていて、ほんとうにあたたかいからだ。  私はアドベントカレンダーに参加するにあたって、キリスト教関連のことを調べた。中に、どうにも理解できないイエスの言葉があった。 「幸いなるかな 心貧しき人 天国は彼らのものなればなり」  心の貧しい人が幸せ? 天国は彼らのもの? 矛盾してないだろうか。  遠藤周作は、イエスが神の愛について語っている、という旨を述べている。他の方々も様々な解釈をされていたが、あまり納得がいかなかった。  この作品を読んで、ふと「心が貧しい」は「無心」なのではないか? と思った。手前勝手な解釈だが、「邪念・雑念がない人は幸せ」とすることで、やっとその言葉が胸に落ちた気がする。  なぜなら、愛する者のため無心に行動したナツは、この上なく幸せになれたのだから。
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お読みいただきありがとうございます。 いただいた感想を読み返し、辿り着いた解釈に感動すると共にその解釈への導のひとつになれたこと、そして作品をお届けできたことを嬉しく思います。 本当は、不安だったんですけれどね。読む方に幼稚だとガッカリされないだろうか、と。 でも、そのお言葉で不安はぶっ飛びました。 堂々と置いておきます✨ キャラクター達の喜ぶ声が聞こえましたので。 感じとっていただき、このように想いを残していただき、ありがとうございます。 はやくもよいちさんへ、心からの感謝を……🍀
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こちらこそ、ありがとうございますm(_ _)m レビューも、投稿するたび不安がつきまとうのですが、お言葉で救われた気分です😊
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