不思議な「気持ちよさ」
取材者のルポのような語りをメインに構成された、「落ちる」にまつわる社会派小説。 取材対象者は、モデルでありインフルエンサーと言われる女子高生。語り部である記者の追っていく話題は、中高生女子の間で話題となりつつあった「落ちる」衝動に関する取材でした。 ヒロインを通じてその世界観や空気感(?)が伝わってくる文章なのですが、空気というよりは波や熱を帯びた風のような危うさと心もとなさが充満していて、そのハラハラする部分に紛れもない「欲動」が存在していました。 自殺や殺人衝動、投身欲求など、今時もありがちな彼女達のタナトスに躍る世間と、SNS等にその主流を置く少女達の温度差やズレやスピード感がこの小説の読みどころであり、なんとも言えない「おもしろさ」を私は感じてしまったのでした。 この小説の正しい読み方は、どんななのかな。目が離せない記事を読むのとも違う、誌面の裏側を読んだような不思議な気持ち良さを感じた、異色作。とてもおもしろかったです。
1件・1件
トコちゃん(改名したのねb)感想ありがとう! わたしはけっこう都市の無意識とか、その場の「地霊」みたいなものが気になるタイプで、こうやって小説にときどき持ち込んでいます。 そしてその「おもしろさ」の各パーツ、自分でも組み合わせがうまくいったと思ってる作品です。 本当に、感想ありがとう、ずいぶん書いていないのですが、そろそろ案をまとめて書かなくては……。
1件

/1ページ

1件