へい!

「葉が散ったら、おれは死ぬんだね」 「ああ。そうだよ」 「ムカッ」  そんなことないよ、とか、そんなセリフを期待してた。苛立つ。  病室。夕暮れ。部屋がオレンジ色に染まる。カラスがかあかあ鳴いている。親父がみかんをくれた。 「ムシャムシャ。美味しいなー、うん」 「こりゃ、まずいみかんだな。ペッ」  ムカッムカッ。普通の会話できんのか。この親父は。なめとる。 「一度でいいから、女子高生と付き合いたかったな」 「父さんもだよ」  ムカーッ。もうあったーきた。なんなんだよ。トンチンカンなこと言ったんだから、注意くらいしてくれよ。  おれは、親父の腹にパンチを入れた。 「ぐは」  親父は口から血を吐いた。 「ちゃんとやれ!脇役のくせに!」  親父が涙してる。  あっ。可哀相。どしよ。 「ごめんね。涙をふいてよ」  ハンカチを渡したら、鼻をかみやがる。  あったーきた。ふざけすぎだ。  おれはベッドから飛び降りて、親父のけつを思い切り蹴飛ばした。  我ながら元気である。  カラスがかあかあ鳴いている。  外を見る。葉っぱが散っている。 「はー。死にたくないな」 「こんな、オー・ヘンリーの短編小説を知ってるかい?」 「どんなの?」 「最後の一葉という題名だ」 (著作権の関係から、数行削除) 「へー。おもしろいね」 「父さん絵が下手だからな。お前どうせ死ぬし」  ムカーッ。だから、その言い方なんとかせえよ親父。確かに死ぬかも知れんけど。言い方ってあるだろ!  おれはベッドから飛び降りて、親父を持ち上げた。 「ひいいいい怖いいいいい」  床に叩きつけた。 「痛いいいい骨がああああ」  ざまーみろ。でも、虚しい。  はー。がちで女子高生と付き合いたかったな。犯罪者になるけど。どうせ死ぬもの。どうでもいい。刑務所でも。  いやいやいや、こんな後ろ向きでは!  おれは、ギターを弾いた。イラストを描いた。小説を書いた。  死ぬまで、少しでも多く芸術をやりたい。 「親父。図書館で脚本の入門書借りてきて。お願い」 「いいよ」  映画を撮影したいが、そんな資本ないから、脚本を書こうってわけだ。  なぜか、野球選手が見舞いに来た。 「ぼくが明日ホームラン打ったら、君もがんばるかい?」 「やだ。どうせ、死ぬもの」 「ムカーッ生意気な!せっかく一流の野球選手が励ましてるのに」  
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ういりあむしどにーぽーたーは短編集3まで持ってまーす。 一人称などについて短所長所のつぶやきよかったですよ。 良いお年をお迎えください。

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