愛という真綿で追い詰められていく
まず読了して興味を引かれたのは、この作品の語り手についてです。一般的な三人称作品と思わせながら、ラストの2つの文章に込められた個人的な願いによって、特定の語り手がいたことが仄かに感じられました。その語り手とは作者だったのか、果たして……? それによって二人の行く末を見守る存在を感じ、優しい余韻が残りました。 また記憶をなくした瑠衣に、自らの能力のことを言えなかったサクヤの事情がついに明かされる場面は素晴らしかったです。 そう。隠さなくてはならない事情が彼にはあった。それは彼女の心を守るためだったこと。繰り返される悲劇の中で、少しづつ削られていくサクヤの心が哀しい。愛という真綿でじわじわと追い詰められていく、その徒労感と悲劇がもたらすある種の退廃美。ふたりの悪夢が終わる日は、来るのでしょうか……。
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ありがとうございます。 お礼のお返事が遅くなってしまい申し訳ありません(;_q) 愛と人間を描きたく執筆を進めるうちに、筆者本人が泣いてしまうという、なかなかに思い出深い作品です。 しっかりと読みとってくださり、素敵なレビューをいただき、本当にありがとうございます。 心からの感謝を、小花衣さんに……🍀

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