猩々けむり

あなたも狂気の渦に飲み込まれる。
大変興味深く読ませて頂きました。 興奮冷めやらぬうちにレビュー失礼致します。 『Ep.7 マリエラ嬢の奇怪な結婚』こちらを妄コン応募作で読んだ時からのファンでしたので、豪華な短編集にワクワクが止まりませんでした。 患者の症状を冷静な目で見つめ、医師として精神病棟に立つルカレッリ。神の教えを元に患者の心を救おうとするトマゾ。聖バシリオ精神病棟という暗く謎に包まれた場所で、さまざまな狂気が彼等を襲います。 なるべく明るい時間を選んで読んでいたのですが、それでも気配を感じるほど怖かったです。全ては作者様の描写力と、病状の裏付けに抜かりがないからでしょう。登場する患者の妄言や奇行、その全てが現実にある病状に当てはまっています。統合失調症患者を例に上げれば、幻覚を見て、悪夢に苛まれ、自作自演に見える言動を繰り返すものの、精神疾患では片付けられない、奇妙な『何か』の存在が見え隠れするのです。このバランスが素晴らしい。錯覚なのか現実なのか、その狭間が絶妙に書かれています(ちょっと私の語彙では表現しきれないが悔しい!) 個人的には『Ep.3リリィ』が好きです。少女が純粋な言葉で幽霊を表現するシーンが、可愛いなぁと思う反面、選んだ語句がストレートで怖い。夜眠る時バンシーが現れるんじゃないかと震えたほどです。そして、リリィはトマゾを導くキーパーソンかと思いきや‥‥彼女はこの世のものでは無かったのですね。個人的に大ダメージでした( ´△`;) そして、ラストシーンまでの狂気の渦が凄いです。トマゾの視界を通して、絶望感が押し寄せて来ます。彼の目に「ものもらい」ができるたび、冷や冷やしておりましたが、やはりという感じでした。 (あれ?さっきから気づけば、私の視界も黒く染まっているような‥‥そういえば、背後に人の気配もする) みなさん、私と同じ状況になっても決して振り返ってはいけません。貴方の肩越しにアパリッツィオーネが画面を覗いているかもしれませんから‥‥
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みもざ様、この度は拙作の読了並びに素晴らしいレビューをありがとうございますm(_ _)m 本作はホラー(しかも信用ならない語り手)ということで、現実なのか幻覚なのか曖昧な雰囲気づくりには何より力を入れました。そこを鋭く読み取っていただけて感激しております……! そのキーになるのはリアリティかなと思い、私にしては細々と調べながら書き上げました。特に病状に関してはそれですね。物語上違和感がなさそうと知って胸を撫でおろしました(汗 そして、一番好きなエピソードを教えてくださってありがとうございます! Ep3とは意外…やや単調すぎるかなと思っておりましたが、ストレートな方がシンプルに怖いですよね。
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