鷹取 はるな

ミイラ取りの果敢なる挑戦
(以下、エピソードタイトル「出会い」を読んでの感想となります) 未だ完結を迎えていない物語の、――しかも冒頭部分だけを拝読してこんな感想を抱くのは甚だ失礼かと思いました。 しかし、ここはあえて正直に「感じて想ったこと」を書かせて頂きます。 タイトルに掲げたそのまま、その通りです。 かつてミイラは薬としても大変珍重されていました。 ミイラ取りを古代の墓へと駆り立てていたのは単なる職業意識だけではなく、ミイラという『未知なる存在』への憧れにも似た好奇心ではなかったかと、私は考えています。 本作品の主人公の岡田が、友人で同僚でもある平沢が付き合っているという高校生と会ったのも上司の命令、「仕事だったから」だけではけしてありません。 確かに、友人として平沢の身が心配だったのでしょう。 その一方で同じくらい、――いや、それ以上に平沢が評した『美しい生き物』に対して並々ならぬ興味を、好奇心を抱いたからではないでしょうか。 高校生というからには『美しい少年』ならば分かりますが、『美しい生き物』とは一体どういうことなのか・・・・・・? 岡田の前に現れた彼は干からびたミイラとは全く対照的に、若さの頂点に君臨していました。 そこから平沢と、その友人の岡田とを平然と見下ろしてきます。 むしろ彼に「骨抜き」にされてしまった平沢の方がよっぽどミイラの様です。 岡田は、平沢が『美しい生き物』である彼にまんまととって喰われる様子をまざまざと見せつけられました。 これから先、岡田が哀れな友人の平沢と同じ道をたどるのか、それとも無事に『美しい生き物』を手に入れることが出来るのか――。 最後の方で交わされる彼と岡田とのやり取りを読む限り、後者ではないかと私は思います。 岡田の並々ならぬ勇気を讃えて、是非ともそう願いたいのです。

この投稿に対するコメントはありません