草薙啓一。

日々、募る思いがあるというの案外、幸せだなと思う今日この頃。 私は昔、取り返しのつかないことを幾度も重ねてきた。その度に、目を閉じ耳を塞ぎ口をつぐんで孤独のままに老いて、朽ち果てるべきか。 言いたいことを普段は胸に秘め、ここぞとばかりに意見を言うと『一言二言言い過ぎ』などと。 そんな理不尽な口封じに屈するくらいなら、言いたい放題、千も万も言葉を紡いで孤高の使徒となるか。 どうせならば自分の心には素直であろうと。自分がこの世に生を受けたことに喜びを見出せず、生きてきた今までに、誇るべき何ものをない無害なだけの存在である私が、人に『おめでとう』などと、生の祝福を与えるなどと、どうして出来ようか。 『おめでとう』 全ての人々が、大切な誰かのために贈る、命の祝福を。 私がどうして、口に出来ようか。ただ、ありがとうと、生まれてきてくれてありがとうとしか、言えない私には、自らの生、自らの魂に、祈りを捧げ、心の底から祝福できない、それほどの罪を私は重ねている。 いつの日か、私は私を許せる、そんな日が来るのだろうかと、急に女々しく、然りとて腹の中では収めきれない、毒をここに吐いて、今日も生きることを諦めない。 それだけが唯一の、希望。それに私はしがみつく。生きて出会えた奇跡、全ての人へ向けて、ありがとうと。
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