仲間との絆が東京を救う
 エブリスタきっての癒し系作家如月康志さんの長編第6作目である。  如月さんは音楽家でもあられるので、タイトルの『カルテット』には違和感を感じないが、『ゆびさき』は一風変わっている……なにそれ? “そいつに指差して一言。それが彼らの能力”……フムフム、なるほどと思いながらページをめくれば、本作の主要登場人物の一人早崎マイの、いつもと変わらない通学の風景がみずみずしい筆致で描かれる。 青春モノが十八番の作者さまゆえ、次のページの絶妙なタイミングでの登場人物紹介で、いやが上にも期待値はアップする。 こういった(おそらくは音楽的素養による)構成のあざやかさはたいへん勉強になる。  はじめに長編第6作目と書いたが、本作と前作『いのちのかたち』をのぞく4作のうち、3作は別のお話のシリーズものだ。つまり、本作にも前日譚ともいうべきお話(『影皇子』https://estar.jp/novels/25513400)が存在する。  もちろん、本作単独でも十分楽しめる内容になっているが、前日譚を読むとより奥深さが増す。このレビューではその形式をとってみたい。  まず、前日譚である『影皇子』は、本作の主人公白夜(びゃくや:びゃくやん)のお父さんの物語である。詳しくは作品を読んでもらうとして、白夜の父刀夜(とうや)は影使いの末裔で、京都を陰から守護する者である。舞台が違うのはもちろんのこと、二つの物語がかもす雰囲気もかなり違っている。 『影皇子』は、舞台が京都という長い歴史を持つ都市ゆえに、全編を通してどこか仄暗さがある。対して『東京ゆびさきカルテット』は、大都市東京の昼夜問わずな明るさがある。この明暗の差にはもう一つ別の因子が作用している。  父刀夜の闘いは基本的に孤軍奮闘のそれで、息子白夜のように仲間を得て共闘するスタイルではない。それが両者が放つ雰囲気の違いを決定づけている。
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(字数オーバーかたじけないです)  前述のマイが下校途中で物騒な輩に襲われるシーンはあるものの、そこから先は敵として戦って勝つ→仲間にする→ともに目的を果たす――といったジャ◯プ形式が適用され、正反対の能力を持つもの同士が決めゼリフ/ポーズを繰り出しながら共闘するのが痛快だ。さらにさらにマイ自身も“拮抗の力”を持つ能力者で、皆で力を合わせて東京を救い、その元凶をも浄化してみせるのがじつに清々しい。  ちなみに、私の推しキャラは“覚えさせ屋”である薫森穂高だ。彼のパートナーで囚われの身だった敦盛も、ふわっとした人柄ながら、現代東京において平安スタイルをつらぬいていて楽しい。 『最強のふたり
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な!なんてステキなレビュー! めちゃ嬉しいです! 癒し系って、すっごく嬉しいです! てれてれきゅー(*>∀<*) てれてれきゅ~(*/□\*) ですよ~。 本当にありがとうございますm(_ _)m 両親の一字ずつを名前にもらった彼は、その年頃特有のどこか親に反発しつつも、どこか憧れている部分があって、でも家業をとても大切にしている人物として描きました。 性格はカッコつけで女の子の気持ちがわかりにくく(親譲り)、懐が深くやることは絶対にやり遂げる。 それは何かを忘れさせて時に消す。と言う陰の能力に起因する能力ですが、それとは対照的に、覚えさせる陽の力を持つ存在は、何かを助
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