年ふりて……つもった雪の下から、過ぎし日が顔を覗かせたとしたら
中年の主人公が雪降る夜に体験したファンタスティックな出来事、それは雪に覆われた過去とかつての思いを現出させる。 完成度の高い掌編だ。人生の半ばを過ぎたくらいの読者なら、いろいろと思うところがあるだろう。 ジャンルはファンタジーではあるが、ヒューマンドラマとしての色彩の方が強い。主人公がごく普通のサラリーマンであることが(それを描き切る筆力が)、読者の胸にこれまでの人生を想起させ、ラストシーンの感動へと誘う。 まさに「降りつもる」という題に相応しい、静かに雪が降るような作品だ。
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素敵なコメントを頂きました。ありがとうございます。
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