潜水艦7号

壊れた傘は雨に歌えなかった
本作品は妄想コンテストに応募されたものです。 妄想コンテストでは毎回ある一定のお題を含むことが求められますが、それ自体をテーマにすることは求められていません。むしろそれより、世界観の広がりやストーリーの重厚さ、表現の巧みさであったり読者を惹きつけて作品に没入させる心理描写の上手さが重要になってくると思います。 本作品はそうしたファクターのひとつひとつが実に丁寧に描かれていると思います。ひとつひとつの言葉が慎重に選ばれていて、8000字という短いストーリーの中に重厚な悲恋物語が描かれているのです。 また、地の文によって表現される作者の『少し引いた目線』『冷めた目線』がこの寂寥感漂う世界観を上手く盛り上げていると思います。 残酷な死を向えたキャラに対し、あえて少し突き放した表現をすることで「ん?冷たくないか?」と思わせておき、最後にその理由をチャンと読者に理解させると。こうした叙述的な伏線の張り方は素晴らしいと思いました。 壊れた傘は雨に歌えなかった。本作品は『傘』をその物語の中心に置くことなく、かつ、事件を象徴する重要なアイテムとして見事に消化しています。こういう『お題の消し方』はとても参考になるものです。 是非その世界観と紡がれるストーリーを堪能して欲しい一作です。
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レビューありがとうございます!! 恐れ多いの一言です!
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お粗末様です(^^;)
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