ゆかもも

夫がまだ彼氏だったころ。 私は友人から一六タルトをお土産にもらいました。愛媛のお菓子で、スポンジ生地にあんこが巻いてあるロールケーキ状のお土産です。 封を開けると一本の一六タルトが十個ぐらいに切ってあって、私は一切れ食べて彼の家に持ってきてダイニングの机に置きました。 彼と食事をして帰ると、机の上の一六タルトが消えていました。一本まるまる、消えていました。 床に散らかるパッケージの残骸。 犯人はそう、チワワです。 封をしてあれば匂いが漏れることもなかったでしょう。でも、私は一切れ食べていたので、残念ながら開いていました。 チワワがダイニングテーブルの上の目標物を取れるなんて、誰が想像したでしょう。 けれど彼女はおそらく少しはみ出た椅子を踏み台にし、それをやってのけました。 彼女はパンパンでした。 見た目にもわかるほど、パンパンでした。 それはそうです。一六タルトが一本入っているのですから。 チワワはデカワになりました。 翌日、仕事の彼の代わりに私は初めて動物病院というところに行きました。 「どうされましたか」 どう答えたらいいのでしょう。そのまま言うしかないですよね? 「い、一六タルトを、一本食べました……」 待合室中の注目を浴びた、私とデカワでした。 診察の結果異常はなく、胃薬が処方され、後日無事に排出されました。 今日は昨日亡くなった彼女を、ペット霊園に連れて行きました。 彼女の食欲は晩年まで続きましたが、体調を崩してからは水も飲まなくなり、それがとても悲しかったです。 だからね、おやつとか、ご飯とか、いっぱい入れてあげましたよ☆ 今頃、天国でいっぱい食べていると思います。 それほど食い意地のはったチワワでしたからね☆ 夫と二人暮しだったチワワは、今では三姉妹のお姉ちゃんになり、娘も大泣きでしたが、無事に見送ることができました。 エブリスタの皆様にもエッセイを通してうちのチワワを愛していただき、本当にありがとうございました☆♪
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