人の心の柔らかな部分に触れたお話
主人公は【物理的に体が溶けてしまう】という特異体質を持った青年という、突飛だけれどとても興味を引かれる設定です。 決して【雪男】ではなく、純粋に【人間だけれど体が外気温や熱によって溶ける】という体質です。体の表面温度は雪のように冷たく、好きな人と当たり前のスキンシップを取ることにも勇気が要る青年です。 そんな体質ゆえに、見た目や思考は人間なのに、主人公はどうしても人間としての【当たり前】を得ることができませんでした。好きな人と手を繋ぐことも、ギュッと抱き合うこともできないのです。 けれどそれは、主人公の恋人となった相手側だけの問題だけではありません。私がこの作品で好きなのは、そんな体質を理由に好きな人から距離を置かれてしまうことに傷付き、怯え、ヘタクソながらも自分と関わる人々相手にうまく立ち回ろうとする主人公の言動や心象です。 主人公はいつからか、体質を理由に拒まれるかもしれないという【可能性】に怯えてしまうようになってしまいました。そんな不安から、彼は寒い季節が近づくたびに『好きな人から捨てられてしまうかもしれない』という思考を持つようになり、恋愛……果ては人付き合いに対して不器用になったように思えます。 そんな主人公に、幼馴染である青年(攻め)が寄り添います。 個人的に私がこの幼馴染を素敵だなと思ったのは、幼馴染が決して【完璧な男ではない】という点です。幼馴染も主人公同様、自分の気持ちや恋に不器用な子でした。 大切な主人公を傷つけたくないがゆえに、主人公のことを想って物語開幕から突飛なことをします。しかし、それは主人公からすると願ってはいないことです。けれど、そんな驚愕的な行動の中にも幼馴染の主人公に対する想いや思いやりがあり、それが本編を通して少しずつ、主人公が気付くのと同じ速度で読者である私にも伝わっていく様子が、胸にじんわりと温かく広がっていき、読んでいてとても優しい気持ちになりました。 決して飾らず、等身大の気持ちを不器用で間違えながらも互いに一生懸命ぶつけていく二人の青年の姿に、とても胸を打たれました。 読後はとても温かい気持ちになり、素晴らしく大満足な作品ですので、沢山の方にオススメしたいです。 素敵な作品をありがとうございました。
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ヘタノヨコヅキさん 本作品へレビューをいただき、誠にありがとうございます! 丁寧にご紹介いただきとても嬉しいですぞ(感涙) 作者よりもあらすじがお上手なんて悔しがるべきなのでしょうが、読み込んでいただけた喜びに勝てぬ。ぐぬぬ。悔しいぜ!(どこ悔しがってんだお前) そして雪(そそぐ)だけではなく直にもフォーカスしてもらえて、キャラクターをもれなく愛する木樫は心より感謝申し上げます…… 身に余る光栄に、感謝感激雨木樫。 素敵なお言葉や嬉しいお言葉、伝えてくださりありがとうございました( *´ω`* )
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