鷹取 はるな

長いながい旅路の果てに行き着いた先は――、まだ道半ば。
先ずは正直に白状致します。 読み始めた当初、主人公・ハンベエのことを「――これじゃあ『兵法者』と言うよりは単なる『乱暴者』だよ」と、半ば呆れ気味に見做しておりました。 とんでもない輩が野に下ってきてしまったものだと悪い意味でハラハラ、危惧しておりました。 彼、ハンベエが行くところ向かうところ屍累々、酸鼻極まる有り様になるに相違ない――。 そんな血みどろで陰惨な物語を、これから私は最後まで延々と読み続けていけるのだろうか・・・・・・ 不安でしかなかったです。 しかし、そんな心配など全くの杞憂もいいところでした。 一度読み出してしまったら、まるで止まりませんでした。 「一日一エピソードずつ」と自らで課した決まりも、最後の方ではついつい破りがちになる始末です。 しかも、私の目はとんだ節穴でもありました。 ただの『乱暴者』が天下国家に勇名を轟かせることなど、有り得ないのです。 本人が望む望まざるにかかわらず、周囲の人々に押しも押されぬ内に物語のど真ん中へと至っていく――。 否、彼自体が『物語』そのものに成っていくあたりが『ザ・主人公』の正しい姿を見る思いでした。 最後の最後まで彼、ハンベエから目が離せなかったです。 と、ここまで主人公語りをしておきながら周囲の人々にもそれぞれ皆、惹き付けられていました。 このお話はタイトル通り『ハンベエの物語』ですが、皆、自分の人生では自分自身が主人公です。 そういった感慨を抱かしてくれたのは、ひとえに作者様の登場人物たちに対する深い愛故にではなかったかと私は思っています。 姉妹編たる続編も楽しみで楽しみで仕方がありません。 まだまだハンベエと、彼を取り巻く人々の後を追いかけていきたいです。
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 ありがとうございます。最後までお付き合いいただけてホッと胸を撫で下ろす思いです。  いつもながら、クリエーターに敬意を払い、作者に勝るとも劣らない愛情を作品に注いでくれるレビュー主の読書の姿勢には涙が出そうです。  本当に素敵なレビューありがとうございます。
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何時も感想を記す度に痛感させられます。 作者様の愛には、到底足元にも及びません。 こちらこそ素晴らしい読書体験をさせて頂き、ありがとうございました<(_ _)>
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