布原夏芽

心身ともに底にいるとき、交わした「1」が美しい
 交通事故とそれによる別離の苦しさと、離れてもなお通じ合う1バイトの文字に託した想いの美しさ。ふたつの取り合わせが印象的な作品でした。「1」と「2」で通じ合った過去があったからこその救いが込められたタイトルは、胸に迫るものがあります。  実体験なんですね。絶たれた彼との関係の瑞々しさ、つらい体験を文章にして公開する作者さんの心の強さ、両方に感銘を受けました。スターピックアップで見かけ、タイトルが気になってなんとなく読み始めたのですが、即座に引き込まれました。ページコメントには書き切れなかったので感想を寄せることにしました。  私も日常的にバイクに乗る人間で、後ろに乗ることも後ろに人を乗せることもあるので、レイコさんとナオキさんそれぞれの心中を思うと心が焼けるようでした。文中にナオキさんからの直接の言葉はなく、だからこそ、レイコさんが思い込みを乗り越えて「1」に込められた思いに励まされる姿がよりいっそう沁みてきます。  きっとまだまだ大変なこともあるのでしょうが、数年がかりで歩けるまで回復されたとのこと、最後に安堵しました。ナオキさんとのその後はわかりませんが、いずれにしても1バイトの幸せを胸に、これから新しいかたちの幸せを紡いでいかれることをお祈りします。
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