たすう存在

センス・オブ・ワンダー
すごい。読後いちばん最初にそう思いました。語彙力がないのはご容赦願いたいところですが、こうやって感想を書くために何度か読み返してみてもやはりすごい小説だと思います。 3000文字足らずの紙数でここまでの世界観を描けることが驚きでした。 金平糖(仮称)が降り注ぎ、世界が終わりを迎える姿がなんだかこの先に本当に起こることのように感じられました。 小さく、可愛いとさえいえる災厄がいとも簡単に文明や人類を滅ぼしてしまうことに恐怖を覚えました。 残された彼女の手に通っていたものが血管や神経ではなく、コード、回路であることにショックを受けました(ここでショックを受けることは作者様の狙いではないかもしれませんが、幼少期にスリーナインを見て育った僕には、どうやら機械の体に対しての忌避感があるようです)。 なによりもすごいのは、これだけの世界観をひとつの軸としたうえで、「幸福という素養」というもう一つの軸を交差させたことだと思います。 人類が進化の末に獲得した素養という能力も、大気圏で燃え尽きない金平糖もそれぞれ単体で一つの作品となりえるアイデアです。 だけど本作はこの短い紙数であるにも関わらず、それら二つともを使い、物語を構築しています。 「世界の終焉✕幸福という素養」によって、僕の持っていた幸福という価値観は大きく揺さぶられました。いえ、ドラム型洗濯機でぐるんぐるんに回されたみたいになりました。 おそらく作者様はこの作品に何か強いメッセージを込めたわけではないのかもしれませ。 ですが僕はこの作品で未知の価値観、未知の感性のようなものを体験しました。 真のSF作品とは読者のセンス・オブ・ワンダーを誘発するものだ、と偉い人が言っていたような気がします。 そういった意味でも本作は秀逸なSF作品であると思います。 で、完全に忘れてたのですが、これキーワードを使用するという縛りで書かれているんですよね。 なんかもう本当にすごい(けっきょく語彙力ない) 大変面白かったです。 ありがとうございました。
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