狗夜 凛

どこか寂寥で、温かい。
人は生まれながらに等しくはなく、無垢なうちに呪いを授かってしまうことがあるのだと思います。 本人に害意はなくとも、周囲の害意に触れていくうちに穢れを身に纏ってしまうこともあるかも知れません。 ファンタジックな導入部から、幾ばくかの謎を孕みつつ、その謎が色を変え、現実的な形となっていく。 女の過去エピソードにも悲哀と重厚感があり、殺戮に至る心情描写が鮮やかに色を伴い伝わってきました。 旅人と二人で寄り添えるか、と信じていたところの、予想の外にあった結末に驚き、しかしだからこそ、女が抱えていた闇の深さを強く感じられました。 終始に及び寂寥が漂い、最後に幽かな光を味わい、想像の余白が多く、記憶に残る名作だと思います。 地文の流れも美しく鮮明で読みやすく、キャラクターの感情をしっかりインストールできました。 素晴らしかったです。 心から、感動しました。
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感想ありがとうございます。 私以上にこの作品を理解していただいているようで、とても嬉しいです。 素敵なレビューに感動しました。 重ねて御礼申し上げます。
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