ⅡはATPから抜け出せなくなる沼編
「ATPは、ⅠよりⅡの方が面白いまである」……  あれはⅡを拝読中のことでした。失礼になるかもしれないとビクビクしつつ、Twitterかどこかでそう発言したことがあります。  本当は「絶対そうだ」と確信していたのに、わざわざ「まである」を付けて表現を和らげたあたり、本当にビビっています。大好きな作品の作者様を、嫌な気持ちにさせたくなかったのです。  幸い、作者様はこの発言を許してくださるどころか、喜んでもくださったと記憶しております。なので安心して言いたいと思います。  Ⅱ、めちゃめちゃ面白いです。  Ⅰまでで止まってしまったらもったいなさすぎます。  個人的に、Ⅱの面白いポイントはこの三つだと思います。 ①メルジューヌは生きていた。 ②国家や宗教を巡り、ドラマは更に大きく重厚に。 ③セメイルの痛みと成長に心を揺さぶられる。  まずは①に関して……。物語のヒロイン、1話で死んでしまったはずのメルジューヌが再登場してくる時点で、もう引力がすごすぎるんですよね(メルジューヌがテレシアと名乗り、読者が戸惑っているさなか、セメイルの影武者ラスイルが現れるというのがまたニクい演出です)。  エアロンを惑わせ、挑発し、しかし熱烈な愛を伝えもする謎の美少女。エアロンの心中も大変なものですが、読者もこのメルジューヌを注視するしかなくなります。  そうして垣間見えてくる彼女の性質、可愛らしさ。特にラスイルとの交流の中で、メルジューヌのことが段々と好きになっていきます。  ②、ここで作者様の書き手としての素晴らしい力量に殴られます。  サイモンに裏切られ、本拠地を失ったエアロン達。物語はアバヤ帝国、そしてローマへ。  移動する度、空気が変わるのです。帝国を訪れると、本当に土煙やスパイスの匂いが漂ってきて、ラクダの揺れさえも感じます。ローマでは、教会建築の厳かな美しさに背筋が伸び、カタコンベに潜れば視界の端で影が蠢いたような気がして、ふと背後を振り返りたくなります。  この臨場感! 没入感! 実際に様々な国を旅行され、宗教にも造詣が深い作者様の大きな武器ではないでしょうか。エアロン達は観光どころではありませんが、ATPは「旅する小説」でもあるのです (入り切らないのでコメントに繋ぎます)。
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 そして③……神官セメイル。  Ⅱを読み終えた時、私の中ではダントツでセメイルが一番好きなキャラクターとなりました(完結まで拝読した今は、メルジューヌとグラグラしているのですが……!)。  最初は恐ろしげなセメイルでしたが、味方になってみると、なんと善良で健気な人なのか。  ラスイル、タウォードとの悲しい対立、宗教者としての苦悩。セメイルと一緒に、何度息を呑んで涙をこぼしたかわかりません。  激しい痛みを伴いながら……しかしセメイルは数々の試練を受け入れ、乗り越え、大きく成長していきます。残ったもの、失ったもの、全てを愛し抜いて。  セメイルの茨の道はここで終わりますが、Ⅲにも登場してくれます
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続けてAttoⅡにもレビューをありがとうございます……!! 「ATPはⅠよりⅡの方が面白い」 それこそ作者が声を大にして言いたいことだったので、むしろ私は大喜びでした(本当はそれじゃダメだろってわかってるyo) 端的にⅡの面白ポイントをまとめてくださってありがとうございます。今、画面の向こうで「YES!」と言いながらガッツポーズをしています。それくらい、どれも挙げていただいてとても嬉しいです。 特に嬉しいのは、舞台が変わるごとの空気感に触れていただいたことです。作者自身、訪れた経験を思い出しながら、または想像で思い描きながら、五感を働かせて書いた部分でした。書きながら旅行に行った気分になり
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