狗夜 凛

葛藤の色使いが鮮やかでした。
浅海かなでさんのリアルが混ぜ込まれていたため、揺れ動く心情が痛みを纏って伝わり、黒とグレーのあいだで思い悩む苦しみがその輪郭を強めている物語でした。 風俗を浮気とするかどうかの議論は、人によって見解が分かれると思いますが、作中の旦那さんはやはり恋に近い感情があったかな、と想像しました。 他の女性と交わる行為に、相応の好意が伴えば浮気、というのは正論で、特に自分とは真逆のタイプと知れば、虚しさや悔しさが出てくるのは当然だと思います。 浮気はした方よりもされた方が苦しみます。仮に相手を問い詰めて何らかの復讐をしたにせよ、された側の苦しみは消えるものではありません。 それでも一緒にいたいと願えば、許す、という行為を許容することになりますが、本当に何もなかったと思うことはできませんし、完全ピュアな愛情でなくなってしまうことも共感できます。 傷はいつでも化膿したがり、わずかな異変に敏感になってしまう。その苦しみは、浮気した側に理解されず、双方で苦悩を半分ずつ分かち合うことはできません。 とは言え、作品の主人公を浅海さんとして考えずに、作品を通して見た読者の立場で申せば、ちゃんと話し合えたこと、黒い気持ちと向き合ったこと、それをちゃんと吐露したこと等で、強い一歩を踏み出せたのではないかと思います。 事が起き、途中でマイナスに落ちてしまっても、プラスに転じられないわけではありませんから、作中で主人公が苦しみ悩んだ過程も、一つずつ絆を紡ぐために必要なものだったと言えるはずです。 主人公は、自身でそこに気づき、自身を省みて、展望を抱き、自身の内にある愛情を確認しました。 作品全体を包んでいた嘆きが、ラスト91ページ目に芽吹きとなって書かれています。 『時に人はそのバランスを崩して苦しくもなるし辛くもなる。だけどそれを乗り越えた先にはきっと明日がある。』 とあり、 『表側の感情と裏側の感情を上手く着こなしていきたい。』 と結んでいます。 幸せの定義は、自分と言う個の心が安定しているかどうかによると思うので、『明日』と『着こなす』という強い言葉によって、主人公は自身を支えて歩いていけると確信できました。 実体験を込めた思いが、たとえ正負双方を孕んでいても、この小説は誇るべき「作品」です。 読了し、私は勇気づけられました。 そのぐらい、とても熱のある作品で、素晴らしかったです。
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狗夜凛さん✨ 勿体ないお言葉を沢山ありがとうございます😭 初めて書いたので感情のままに言葉にしてしまい、物語というよりは自分の気持ちと向き合うために書いたもの…でしたのでお恥ずかしい限りです💦 流石といいますか、私が伝えたかった思いをここまで読み取って貰えるとは…と驚くばかりです。 私には勿体ない程に素晴らしい言葉を本当にありがとうございますm(*_ _)m
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おはようございます✨💕 感想には思いを込めましたが、文字数の関係で書き足りなかったことが一つありました。 浅海さんは、自身のこころに敏感で誠実な方だな、ということです。 敏感なことは良い反面、苦しみやすいものでもあります。 ただ、過敏になる前に自身と話し合い、作中では、こころを壊す前にちゃんと向き合うことで、誠実に相手へ気持ちを伝えていました。 ただ苦しいだけでなく、また過敏にもならず、まっすぐに感情をぶつけられたのは、前進するための大事な一歩だったと思います。 それが伝わったので、共感し、あのような感想になりました。 実生活は色々あると思いますが、傷というものに敏感な方の葛藤や結論には説得
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