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悲しさを数えないでいた
青のキカ
2022/6/7 23:00
何度だって読み返したい、切ない純愛ミステリー
柚木の恋愛がメインのお話かと思いきや、予想を大きく裏切られました。 三人称視点で律子に焦点が当てられた瞬間、鳥肌が止まりませんでした。 張り巡らされた伏線、読めない展開、誰もが怪しく見える描写に、ハラハラドキドキさせられっぱなしでした。 律子が長年寄り添ってきた母との最期の時間を大切にできなかったこと、キヨちゃんを亡くしたこと、自ら死を選ばざるを得なかったこと、全てが蓮への一途で盲目的な愛のためというのが、とても哀しく、胸を打たれました。 あの時こうしていれば、こんなことにはならなかったのに、と何度も考えてしまいました。 だけど自分が律子の立場だったら、きっと同じようなことをしてしまったと思います。 好きなセリフも、描写も、挙げたらキリがないです。 絞って挙げさせていただくと、柚木と片岡がキッチンに並び、柚木が「今すごく幸せです」と言い直すシーンと、律子がタイトルを回収するシーンが大好きです。 あと「告白」という章、蓮が柚木に別れを告げるシーンは、涙が止まりませんでした。 律子が死に場所に決めていた海と埼玉をレンタカーで何度も往復し、運転の練習をしていた、というのも、真面目な彼女らしく、胸が痛みました。 イメージと違ったら大変申し訳ないのですが、柚木は女優の蓮佛美沙子さん、蓮はART-SCHOOLというバンドのボーカルである木下理樹さんの若い頃を想像して読んでいました。 自分の中でのイメージソングはART-SCHOOLの「IN THE BLUE」と「Missing」です。 蓮目線で聴くと、胸が締め付けられて、思わず泣きそうになってしまいます。 私は作中で、蓮が人間臭くて一番好きでした。大切な人に我儘になってしまうところ、不器用で軽率で強がりなところ、言葉足らずなところ、見捨てられるのが怖くて、肝心なことを伝えられないところ。損してるなと思ってしまいます、そりゃ柚木も正反対の片岡に惹かれてしまうよ、と、、でも、愛おしいです。 柚木と蓮はお互いに忘れられない人なんだろうなと思います。 伝えたいことがありすぎて、長文になってしまい、申し訳ないです。 最後になりますが、この作品と、皆さんに出会えてよかったです。 きっと何度だって読み返してしまうと思います。 ありがとうございました。
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帆風マホ
2022/6/8 1:06
青のキカさま とても丁寧なご感想をいただきありがとうございます。 録画したNHKの朝ドラをボーッと見ていたところ(朝ドラは朝ではなく夜遅くに何も考えず鑑賞するのが好きなのです)「感想・レビューが届きました」メールが入り、開いてみてビックリ。 こんなにも私の書いた登場人物を愛してくださっているメッセージをいただけるなんて本当に感激です。 「蓮が人間臭くて一番好き」というところありがたく反芻しております。私にとっても蓮はやはり愛すべき存在でしたのでとても嬉しいです。 蓮佛美沙子さんのイメージは柚木にピッタリですね。透明感があり知的な感じで私も好きな女優さんです。 ART-SCHOOLという
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青のキカ
2022/6/8 17:32
お忙しい中、丁寧なお返事ありがとうございます。 深夜にお酒を飲みながらのんびり見る朝ドラ、楽しそうですね。 柚木のイメージがピッタリと言っていただけて、嬉しいです。 古いドラマですが、「あしたの、喜多善男」に出演されていた小西真奈美さんの演技も好きでした。 ART-SCHOOL、早速調べてくださり、ありがとうございます。 ライブ映像を観ては、蓮が歌ってる……と、勝手に感激していました。 (目にかかるくらいのサラサラの黒髪、影があって儚げなところ、少年の面影が見え隠れするところ、どこか生きづらそうなところが、蓮の印象と被ります) 律子が昔好きだった男性アイドルに似ていると言っていたのが気に
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