「雨音」 「奥様が、ベランダにでて洗濯物を取り込もうとした時、手すりが壊れて落下、死亡した」 「そうです」 「あなたには、その際の完璧なアリバイがある」 「そうです」 「ここで疑問なのは、時間です。なぜ奥様は10時なんて言う中途半端な時間に洗濯物を取り込もうとしたのでしょうか」 「さあ?」 「私はね。雨が降っていたんじゃないかと思うんですよ」 「昨日は一日、晴れていたはずですが?」 「その通りです。けれど、きっと奥様は雨が降る音を聞いたのです。 そして、晴れ渡る空を見て、怪訝に思ってベランダの外に手を伸ばしそのまま手すりに寄りかかり、落下した」 「ですから、雨は降っていなかったと」 「けれど、雨の音はなっていた。 失礼ですがご主人。携帯電話を見せていただいてもよろしいですか。 きっと、着信音は雨の音なのでしょう」

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