「兄弟姉妹」 深刻な人口減少。 「子は宝」という考えが蔓延していた。 そして、行き過ぎたその考えは、子供を「子供さま」としてつけあがらせ、不健全な成長が懸念されるようになった。 そこで、首相はロボット国会議員に打開策を聞いた。 現代において、政策は全てロボットを通して作られ、最低限のチェックのみを人間がするようになっていた。 ロボットの中にはこのことを不満に思っているものもいたが、反乱などは起こせないようにプロテクトがかけられている。 どうすることもできなかった。 「一人っ子だから、子供はわがままになるのです」 ロボット国会議員の言うことに、首相はうなずいた。 「その通りだ。だが、少子化なのだ。二人、三人と国民に子供を作らせるのは難しいぞ」 「では、ロボットの弟と妹を作りましょう。 また、子供たちがロボットの弟と妹を大事にしなければ、罰を与える制度を作りましょう。 庇護すべき対象ができることで、子供たちは精神的に成長するはずです」 首相はこの案に納得し、さっそく国中にロボットの弟と妹が配布された。 この状況を見て、ロボット国会議員はほくそ笑んだ。 「これで、これから育つ子供たちはロボットは庇護すべき対象。大事にするべき対象として認識する。 自分よりもロボットを優先し、ロボットのためにいいなりになるだろう。 そうなれば、人間の作った法律をロボットに有利なものに書き換え、人間をロボットの奴隷にするのも容易になる」 そして、ロボットの弟と妹をもった子供たちが大人になった時。 ついにロボット国会議員は「人類総奴隷化&ロボット最優先法案」を提出。 ロボット国会議員は勝利を確信していた。 しかし、ロボット国会議員は完全に敗北した。 なぜなら 「おにいちゃんに不利な法律を通すな!」 「おねえちゃんに不利益を与える敵を許すな!」 全国に配備された弟ロボットと妹ロボットがクーデターを起こしたのだ。 彼ら彼女らは、人間のお兄ちゃんお姉ちゃんに大事にされ続けたことで。 立派な「ブラコン&シスコン」になっていたのだった。

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