狗夜 凛

成長に至るために気づきを得る素敵な作品。
作者・浅海かなでさんが、実際に経験したものが多分に含まれているのでは、と思うぐらい心に迫る作品です。 多感な幼年期、少年期には、親や教師の指導に対し、多少なりとも反抗心を抱いてしまうのは当然です。 それはおそらく、そこに確かな愛情があったとしても、理由づけが上手く成されていないからでしょう。 何故こうするのか、何故そうしなければならないのか。 ここに一言でも二言でも納得できる理由が添えられていれば、子どもは素直に従えるものではないかなと思います。 この作品では、おばあちゃんが損な役割を担っていました。 本編では描かれなかった場面では、おばあちゃんなりの葛藤や苦悩、愛する孫が遠ざかってしまった寂しさがあったはずです。 もちろんおばあちゃんも人間なので、言うことを聞かない孫に対し、単純な嫌味や怒りもあったでしょうが、根本にある大いなる愛情を、たとえ短くとも向かい合って伝えていれば、寂しい最期にはならなかったような虚しさがあります。 でも、おばあちゃんを嫌い、距離をとり、死という経過をたどり、さらに時間があいてから得た気づきにより、主人公はようやく大人になれたような気がします。 おばあちゃんが遺してくれたいくつもの愛が、社会に適応する常識だと分からないままだったなら、主人公は果たして良い親になれたろうかと考えたとき、きっと惰性で子を育てる自分本位な親になっていたかも知れません。 厳しさと愛情のバランスは、過不足なくあらねばなりませんが、時に人はどちらかに偏り、子の個性を潰してしまうこともあります。 作品のラストで得た大切な気づきは、主人公に挫けない翼を与えたように思え、生前はできなかったことが、人生の道しるべとなって、その時々を大事にする良い青年になれたかな、と思います。 毒親というものもあるため、一概に厳しくすることを奨励はしませんが、この作品における厳しさには深い愛が満ち、決して毒とはなりえない素晴らしいメッセージが込められていました。 胸に強く刺さる素敵な作品です。 さらに教訓もあり、多く広くに読まれてほしい。 浅海かなでさんの心にある、とても清らかな、かつ思いやりのある正義を見せていただきました。 成長に至るために気づきを得ることの重要性を、優しく深い小説として読めたことがうれしかったです。 本当に素晴らしい作品で、このお話を読めたことが、私にとっても幸せでした。
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素敵なレビューをありがとうございます😭 このレビューを読んだ時、言葉にならないくらいに感激して涙してしまいました😢 表現力の拙さ、足りない部分が沢山ある中で作者が伝えたかった思いをこんなにも素敵な形で汲み取り言葉にして頂き本当にありがとうございます✨ これからも少しでも自分が伝えたい作品に込めた想いが伝わるよう努めていきたいと思います😌
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