ともなり

超・妄想コンテスト『芽生え』裏会場銅賞受賞作品
心を病み、実家の庭を眺める女性が幼い頃に見た黒い双葉を思い出し、それを探すお話。希死念慮を抱き続けている彼女が暗がりの中で見つけたそれはすっかり姿を変え、そこから感じるおぞましさとは裏腹に彼女の体は自然とそれを求めて行きます。主人公の内面を視覚化したかの様な展開が繰り広げられますが、面白かったのは体の行いと心の動きが実際とは逆であった事でした。死を望む彼女の心はそれを拒み、ストレスに対しても体調を崩す事の無かった体は彼女に逆らい、さらには振り切ってまで終わりを迎えようとする。この描写は制御できる部分とそうでない部分の乖離の様にも見え、力関係的にも表層意識と深層意識の対立の様にも一見は見えました。また死を思わせる黒い華が徐々に赤く染まる様は、良からぬ者が命を奪うかの様に思えるのですが、実際は(失礼ながら作者様の思惑とは違いますが)僕にはほぼ死に染まった主人公自身があの花で、だからこそ彼女はそれを見付けなくてはならなかったし、死にたくないと言う思いに応じる様に体はそれに命を与えたのではないかと。それに伴う剣山の痛みは生きる痛みそのもので、まさに針の筵、生きる事は痛みを伴うのだ、それでも生きたいのだと彼女の深層意識が表層意識に痛みと言うダイレクトでわかりやすい教え方をした様にも思いました。それゆえ、彼女が正気に戻った時、握っていたのは根ではなく茎だったはずなのに空ではなく命を育む土を握っていたのも印象深いです。
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この度は素敵な賞をありがとうございます! 初めて投稿した作品で、その作品を評価して頂けたのは素直に嬉しいです。 今度は公式で選んで貰えるように精進致します☺️ そして作品に対しての感想もここまで詳しく書いていただきありがとうございます。 死を可視化し、死の恐怖を描いた作品でしたが、そんな見方もあったかと書いた私自身が気付かされました。 死に対する考え方が人それぞれなように、作品の見え方も人それぞれなのだなと楽しくなりました。 この度は選んでいただきありがとうございました。 この賞を糧に今後も頑張ります!😌
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作者の意図の逆を読んでしまうという失態、大変失礼しました。
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