「夏の夜」 病弱な妹が「ホタルがみたい」と言った。 小さいころから入院続きの妹の願いを叶えてやろうと山へ入った。 ものの 「まったく見つからねえ」 結果はやぶ蚊に刺されただけだった。 近所の神社にお参りをしてから、途中で秋葉原に寄って帰った。 その日の夜。 妹の病室から外を見ると、緑の淡い光が近くの木にあった。 妹が歓声を上げた。 緑の光はふわりと飛び上がり、夜空に消えていった。 その様子を妹は嬉しそうに、俺は呆然と見送ったのだった。 次の日の朝。 ホタルの止まっていた木を調べると、昨日仕掛けたLEDライトは配線不良で全く光らない状態だった。 俺は次にあの神社に行くときには、賽銭をはずむことにした。
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