ヤギチュール

すこし鼓動が大きく感じるような、ぐっと感じ入る読後感に浸ることができる短編です。
冒頭から異常事態を読者に叩きつけてくる展開に、すっかり引き込まれてしまいました。 息を飲んでそこから読み進めていくと、後半からは人間の少年と家庭用アンドロイドの交流が描かれています。 一見すると心温まる情景ですが、二人、あるいは一人と一機は何を思っていたのか。 どこか寂しさを感じさせる最後の一行を読み終えたときに、彼らの心について考えずにはいられない作品です。 一度読み終えた後、タイトルの一部がなぜ小文字になっているのかを考えてみるのも楽しかったです。3000文字以下とは思えない、読み応えのある濃密な短編でした。 夏見さんってこんなSF短編も書ける人だったのか!という驚きを得た作品でもあります。今後の活躍がますます楽しみになりました。 素晴らしい作品をありがとうございました。
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