駿介

夕陽とグラスの氷が溶ける描写の重なり合いが見事でした!
水平線に沈むゆく夕陽、段々と溶けていくグラスの氷。 そして、主人公にそっと寄り添う、今は亡き恋人。 その全てが儚げな雰囲気を漂わせ、重なり合い、一体となって物語の空気感を創り出しているように感じられました。 どれもいつかは消えていってしまう物でありながら、またそこから新たな物が生まれ、そしてまた巡って…という様なことさえ予感させるようなお話でした。 詩的かつ叙情的な文章であり、夕陽の茜色に包まれたベランダの風景や、グラスの中に入れられた琥珀色のウイスキーの色彩さえハッキリと目に浮かぶような見事な筆致でした。 読後に、誰かと共に生きるということ、人の温かみというような物を感じずにはいられない作品でした。

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