まちゃ

愛という名のエゴが悲哀を招く
全部読みました。 巨悪を倒し愛を取り戻せ……みたいな分かりやすい勧善懲悪ではないところが、この作品の良さだと思います。 自らの心を殺し続け粛清者として生きてきたセナに、クロエは愛という名の自らのエゴを押し付け、結果的にセナの心を救いました。 が、総統という立場にありながら粛清者としてのセナを愛していたレジーナは、その愛を独裁者然としたエゴとして振りかざし、クロエを殺してまでセナを取り戻そうとします。 しかしクロエによって救われたセナは既に粛清者ではなく、クロエによって教えられた本当の愛を胸に反逆者としてのエゴをもってレジーナを討ち取りました。 それぞれの愛という名のエゴが絡み合い、悲哀を招き──やがて国民は愛する自由を取り戻す。幸せは誰かの不幸の元に成り立つ、と言いますが、正にセナとクロエ、そしてレジーナの不幸の元にレオとユイや、他の人々の幸せが成り立ったんだなと思いました。 そして、最後のセナが引金を引くシーン。例えレジーナが倒れたとしても、未だ愛する自由を良しとしない者も多くいる訳で、セナはそれらを粛清していく──これから先も誰かを不幸にして、自らの幸せを勝ち取っていくことを暗示しているのかな、と思わせる良い終幕でした。 少し気になった点としては、文字数の関係上やや展開が駆け足気味だったところですかね。 ともかく、とても良い作品でした。ありがとうございました。
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素晴らしいご感想ありがとうございます! 物語に秘められたメッセージ(レジーナの気持ち等)を色々感じ取っていただけて嬉しい限りです。 勧善懲悪モノのような大義もなく、レジーナはセナを取られたからクロエを殺し、セナはクロエを殺されたからレジーナを殺したという、法を無視したエゴ丸出しの奴らというニュアンスで書いたので、そこも気づいていただけて何よりです。 ラストもおっしゃる通りで、セナ自身も暴力そのものには疑問を抱いていないため、自由の愛を謳いながらも、変わらず暴力と恐怖による支配を行う皮肉を効かせました。 確かに最後の方はバランスが悪くなってしまいましたね(反省) 情熱を込められた作品だ
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