吾妻栄子

冷静に狂っている愛憎
地名やストーカーに使う機器など描写にリアリティがありますね。 何より語り口の「冷静に狂っている」、この犯人にとってはターゲットの女性に盗聴器を仕掛ける犯罪行為すら日常の一部であると思わせるところが秀逸です。 ただ、これは物語の性質上、仕方のないことではありますが、最初のアイドルオタクで八年も引き籠もっていた、率直に言って恋愛以前に社会性そのものに乏しい人物がこんな周到に別人に成り済ましてまで十数年も過ごせるだろうかとも感じました。 郷里でのお見合いに閉塞感を覚える被害女性への推察などこの語り手はむしろ他人の機微に敏感な印象を与えますし、社会性に乏しい人は女性と親しく友人付き合いも出来ません。 それはそれとして、最後まで興味深く拝読しました。
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初めてコメント頂きました。ありがとうございます。ご意見にも気付きがありました。これからも精進して参りたいと思います。
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