昭島瑛子

各方面への愛が詰まった作品
……こんなレビュータイトルで果たして良かったのでしょうか……と思いますがとりあえず感想を書きます。 その1:児童文庫愛 主人公のメイたちは小学5年生。私自身は現代のリアル小学5年生と接する機会はありませんが、「リアルだな」と思わせる描写がたくさんあります。 校外学習の班決めや分担、タブレットでの下調べなど、小学生にとって身近な出来事を丁寧に描くことによって、読んだ子供が「私もこういうことあった!」と親近感を抱いて物語に入りやすくなる。 児童文庫向け作品を多く書いてきたリコさんの児童文庫愛を感じられます。 その2:猫愛 物語に登場するチロルもアイルもかわいらしく、その猫らしい描写に思わずニコニコしてしまいます。そしてそんな猫たちに夢中になってしまう人間たちにも「そうなっちゃうよね」と共感してしまいます。 チロルが学校についていくのにキーホルダーになるのも、「うちの猫もそうなって欲しい!」と思う人が多いのではないかと思いました。 その3:愛のあるメッセージ ハッピーキャットは人を幸せにすると幸せがチャージされる。人を幸せにするためには人の役に立つ必要があると考えるチロルは、メイが算数の問題を解いたり跳び箱を跳んだりするのを不思議な力で手伝ってしまいます。 でも、人が幸せを感じるのは相手が役に立つことではなく相手が幸せそうにしていること。それは猫だけではなく子供にも大人にも通じることだなと思いました。 この結論に至った上でタイトルの『うちのネコはよく笑う』の意味に気づくとじんとしてしまいます。
2件

この投稿に対するコメントはありません