倉橋@新作発表

激しい愛が読者に迫る大河ロマン。
 作者は現在、多忙につき作家活動から距離を置いていると云うことで、このような紹介は或いは本人にとって迷惑かもしれないという危惧はある。  ただ読者の心に強く感動と印象を残す作品であり、既に多くの実績を残している作者の作品の面白さを、多くの読者に知らせるきっかけになればという思いで、このレビューを書くことにした。  この作品は、古賀凉と笹原翔平、相良深月の三人の高校時代に始まり、古賀と深月の結婚、その後と、約二十年あまりに亘る恋愛模様を描いた壮大な大河ロマンである。  スケールの大きさという点では、作者の全ての作品の共通点である。  もうひとつが波乱万丈。次々と事件が起き、各登場人物が複雑に絡み合うという点や各登場人物の心理的葛藤に重きを得た点も、作者のほかの作品と共通している。  そしてこの作品の面白さが抜きんでているのは、物語の冒頭から緊迫した事件が発生し、誰が主役か誰が悪役か、誰が味方で誰が敵か、読者もハッキリと掴めないまま、グルグルと変遷していき、最後まで読者の緊張を持続させる点である。  小説を読む以上、面白くなくては話にならない。この作品はとにかく抜群に面白い。  そしてミステリー趣味の作者らしく、あっと驚くどんでん返しがいくつも用意されている。  そして読者を、「これでもか、これでもか」と泣かせる感動が結末まで何度か用意されている。  小説としての魅力をこれだけ備えた本作品が、今後コミック化、映像化されて多くの人気を得ることを祈りつつ、このペンを置く。  そう! この作品は、コミック化、映像化の夢を見るだけの印象を読者に与えてくれる力作であり傑作である。

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