しのき美緒

耽美な世界観に魅せられる
楽器店のどこか浮世離れした美しい青年店主と、手伝いの少年。 店主はチェロをたしなみ達者に弾きこなす。不思議と近代的な建築ではなく明治大正期の洋風建築、大きな窓、唐草模様が浮き出した分厚いカーテン、紅い絨毯、マホガニーと少し屈折した硝子でつくられたショーケースが浮かんでくる。 やってきたお客様も和装の佳人である。何もかもが美しい、夕陽の差し込む少しセピアがかった世界を、しかし作者は堪能させてはくれない。美しいものの仮面を剥ぎ、本質を剥きだしにしていたぶるような残酷な話が展開される。そして何事もなかったような店じまい。 今回、店主がみせた嗜虐性はこの佳人に対してだけなのか、それとも内なる性質なのか、もっと知りたい、もっと読みたい、と思ったらシリーズ化するらしい。 どうやらエブリスタでまたひとつ読むのが楽しみな物語が増えたようだ。
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嬉しいご感想ありがとうございます🥰企画参加のこの作品のみで終わるかと思いきや、予想外なことにたくさんの反響を頂きまして、作者自身この作品の世界をもっと広げたいと思いました。 店主は誰にでも甘い顔をして優しいのか、と言えばそうでもなく。なら慈悲も容赦もないのか、と言われてもまた違う。彼の本質は今にも割れそうな薄いガラスか、一本足でかろうじて立っている椅子のようなものだと思います。何かを引き金にして、それが一気に崩壊すると隠している本質が剥き出しになる。きっと店主はそんな人です。 でも作者も、店主は嗜虐趣味持ってそうとか……思ったり(笑) 本作は短編連作でシリーズ化予定です!またこの世界に来て
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