昭島瑛子

ひらがなだけのタイトルから心の奥深くへ潜り込む作品
とにかくタイトルが秀逸です。「やさしさ」「うそつき」「あやまり」という三つの言葉はこの作品を読んでいる間も、作品の外でも考えさせられる言葉です。 結婚を間近に控えた、最高潮に幸せと言えるときに亡くなった藍。誰かに殺されたのではないかと真相を突き止めようとする誠二。でも結局最後にたどり着いた答えは、病を抱えていた藍が誠二を悲しませないために自ら死を選んだというものでした。 かけがえのない相手には嘘をつかないものだと、包み隠さずすべてをさらけ出せるのが信頼の証だと思われがちです。 でもこの作品の登場人物は(藍だけではなく流生も)大切な人を傷つけたくなくて嘘をつきます。 大切な人を思っての行為だけど、それが正しいのかはわかりません。もしかしたら嘘は誤りだったかもしれない。なら真実を伝えていたら傷つかなかったのか。真実を伝えたらそれはまた別の苦しみがあったはずで、そちらを選べばまた別の傷や後悔があったのかもしれません。 とても深く考えさせられる作品ですが、この作品に彩りを与えているのは詳細に描写されるスーパーでの業務だと思います。 心の中がどれほどつらい状況でもこなさなければならない日常があり、心がつらい状況にあれば日常にも支障をきたす。それがこの作品に「現実」をもたらしていると思いました。
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素敵な感想、ありがとうございます! また、長編お付き合い頂き、ありがとうございました!! 感謝しかないです(/ _ ; ) ありがとうございますー!!!
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