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過つは人の性、許すは神の業
拝読いたしました。さすが受賞作品だけあって考えさせられる内容でした。 最初は何が起こったか全く分からない状況から始まり、二人の男の過去が次第に明かされていきます。ほとんど会話だけの動きのない作品でありながら、濃密な心理描写で読む人を飽きさせません。 そして、最後に明かされる真実はあまりに愚かで身勝手な人間の姿でした。因果応報とはよく言いますが、まさにその通りという感じです。 結局、悲劇の根底には保身があるのかもしれません。一方で保身は生存欲求として至極普通であり、まさに人間の業(ごう)ともいうべきものなのだろうと思います。 最後の一言は、さすがと言わざるを得ないものでした。 『過(あやま)つは人の性(さが)、許すは神の業(わざ)(To err is human, to forgive divine、人間は過ちを犯す罪深い生き物であるが、それを許すために神のように広い心がなければならない)』などという言葉もありますが、まさにその通りだな、と感じさせられる作品でした。 改めまして受賞おめでとうございます。
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わーーー、いつも本当に素敵なレビュー、ありがとうございます!m(__)m 復讐と因果関係、執筆応援キャンペーンでこのお題が出た時に、この短編を応募するしかないなと思いました(笑) 会話劇で地味な展開で、おまけに主人公のモノローグが続くし、なかなか読み通すのはシンドいかなとも思っていたのですが、そう仰って頂けると嬉しいです。 本来物語としては禁じ手かもしれないですが、あえて主人公が「好ましくない人物」と思われるような構成にしてまして、最後のひと言は主人公の嫌な部分が自分に突き刺さるような、そんなラストにしようと考えてました。自分を守るために「許すべきじゃないか」とか言っちゃう主人公に、それこ
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