児童文学として楽しく読める作品
 この作品については早くより、僭越ながら解説を書かせて頂きたいと思っていたが、何かのコンテストに応募の場合、出過ぎた真似でご迷惑をおかけしてはとご遠慮申し上げていた次第である。  この作品は児童文学であることは云うまでもない。児童文学には二種類ある。  明治から続いてきた児童への教育、啓蒙というテーマを盛り込んだ伝統的な児童文学である。作者は一段高い場所に位置し、読者を見回して教え諭す立場にある。  現在では教育、啓蒙の立場は考慮しながらも、あくまで目線は児童に合わせ、読書としての面白さを追求した作品が主流となりつつある。  この作品はもちろん後者であり、児童が興味を持つオカルトや異世界との交友をバックに据えつつ、舞台としてはあくまで学校という児童にとっては日常的な立場に設定し、恋や友情、学校生活の中での非喜劇を描こうとしている。  学校生活にオカルトや異世界が関わってくるという展開は特に目新しいものではないが、あくまで学校という日常生活をメインに据え、異世界の者は出しゃばることなく、タイミングを見計らって悩み事や事件解決に協力するというストーリーにしたところが、作者の工夫した点ではないかと思う。従ってこの作品は、あくまで日常生活を描いた児童文学であり、色々な悩み事や事件を一刀両断に解決してくれる助っ人がいればという願いに応えた児童のニーズに見事に応えた作品と云えるのではないかと思う。(後編に続く)
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倉橋さん、素晴らしいレビュー、解説をありがとうございます! 児童文学の書籍の出版経験のある倉橋さんからのエール、とても嬉しかったです。 児童文学を書くのは、私にとって小説を書く原点です。公募にも挑戦していますが、なかなか芽が出ない中、あたたかい応援嬉しいです! ありがとうございます<(_ _)>
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