澁谷文学の魅力「詩小説」「読む絵画」
 澁谷沓氏の作品を読んだのはエブに来てそれほど早い時期ではなかったように思う。  だが一旦読み始めると、作品の素晴らしさに大変心を打たれ、その後は新作が出るとすぐに読むようになった。  澁谷氏の作品で私が傑作だと考えているのは、下記二作であり、前作は最終章が抜群に素晴らしい。 https://estar.jp/novels/25545654  月の泪の物語 https://estar.jp/novels/25607185  メグル・メグル・ロンド  この二作品は現代の寓話のような作品である。だが寓話のような冷たさ、堅苦しさはなく、あたたかさと切なくなるような哀しみに満ちている。  その後、澁谷氏は様々なジャンルの作品に挑み、最近では漠然とした不安と衝撃を読者に投げ出したまま幕を閉じる作品を多く発表している。  そうした構成のホラーは前例がある。だが澁谷氏の作品は、「鬼面人を驚かす」ような突飛な小道具に頼るよりは、身近な話題から入って、じわじわと読者を不安に陥れていくスタイルである。そのため、幻想的で高い文学性と芸術性を感じさせる作品が多い。  独特な語りかけの文章は、柔らかく優しく平易であり、時に太陽のようなあたたかさが感じられる。結末には不思議な余韻が漂う。  それが澁谷氏のホラーの特徴である。  ほかの作家が書けば、もっと恐ろしく絶望的で後味の悪い作品になるかと思う。  澁谷氏の文章は以前に「詩小説」と呼んだことがあるが、また別の呼び方がある。  「読む絵画」である。氏は画家としても名高いが、この作品を読むと、澁谷氏の文章と共に、それぞれの場面が一幅の絵画として心に浮かんでくる。   この作品は、ひとりの女性が砂浜で遠くの海を見つめながら、幼き日の不思議な思い出を懐かしげに語る幻想的な作品である。  作品の九割を占める幼い日の思い出を記した後、現在のヒロインの姿が描かれる。  公園の砂場が砂浜に替わり、大人になったヒロインが再び砂の中に隠したもの……。  ヒロインの置かれた立場が何か。ラストの後、読者は様々なストーリーを紡ぐことが可能である。  読者の眼前にうつろげに広がる砂浜と大海原こそがこの作品のテークであり、最大の魅力かと思う。  「詩小説」「読む絵画」。多くの読者がこれからも澁谷氏の作品に魅せられることであろう。  
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倉橋さま✨ せっかくのCool☆&Fineなご感想を頂戴しておきながら…御礼が遅れ申しました御無礼をば、どうかお許し下さいませ…💦 映像作家出身のとある映画監督(どっか外国の方。お名前は忘れましたが…♪)が、『撮りたいのは最後の一瞬のシーンのみ。他の場面はそこへ持ってくための単なる通路』…みたいな適当なことを仰るのを以前なんかで見ましたが、…私もその口かもしれません…♪ 一瞬の絵画的場面のために創る小説…✨…これからも精進して参ります✨ そして…SOMEDAY…✨倉橋さまの化粧マワシの如き名感想に対し、幕外のヘボ力士のような私ですが…相応のモノカキに なりたいものよ…✨ …あ! そういえ
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 澁谷さん。受けやすいのは前回の作品ですけれど、文学性や叙情性は今回が素晴らしかったと思います。前回の作品はすごく面白かったですが、「通俗作品」と云えばそういう傾向はあったかと思います。今回は美しいしらべのいつまでも余韻の残る詩小説だったと思っています。本当に感動しました。やっぱりみちのくの女流文学者だと敬服しています。
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