蕚ぎん恋

限りなく不道徳な円環に差したひかり
この作品が印象が残ったのは、筆者であるSassyさんがこちらでの活動3周年の際に連載開始のお知らせを、満を持してかのようにされたから、という憶えがあります。 しかも一度掲載したことのある作品の改稿。 確認したら、初投稿の作品でした。この作品が初投稿ってそれも凄い。 とにかく、並々ならぬ意欲を感じたのです。 テーマは不道徳。倫理、性を超えてしまう危うさをはらむ手を繋いだような若者三人。 冒頭から、ふたりの男と性行為したんで父親はどっちか判らん(どっちもだ)みたいな女性の産婦人科の診察台からの宣言、という度肝を抜かれたものでした。 作品を通して、倫理を超える、という空気・行為に満ちていたと思います。 この作品は男性×2+女性×1の関係で、男性同士の関係も描かれるのですが、不思議なのが、通常のBLを楽しむみたいな気持ちに何故かなれず笑 かがりの存在を意識してしまうからか、複雑な感じで。 その辺が男性×2の単一な関係ではないより拗れた印象を産んで、私は興味深かったです。 ふたりの間にいるかがりという女性も、お人形のように浮世離れしている、複雑な境遇を抱えている人物で、感情移入出来るタイプではないと思うんですが、それだけ三人という特殊な関係性を、隣の星くらいからそっと息を詰めて見ている、という姿勢で読み進められたのではと思います。 三人だけの宇宙みたいな世界を描かれる描写は素晴らしかったです。 若さゆえ、何とか癒著してるような三人の関係が、子どもが出来た事によりあきらかにそれまでの形がこわれて、 かがりは母として強く、でもひとりの女としても跳びたい、ユキトはこの家族を守りたい? 隼は、ちょっと影を感じて心配な香りがした…。 この三人に子供が出来たのは、世間的には正直に罪深いと思います。特にエピローグのひかりちゃんの視点は、やっぱり子どもの側からの切実な気持ちを押し込んで溢れて切なかった。 だけど、このひかりちゃんという存在は不道徳な三人に差した確かな光だった。 限りなく不適切な四人だけど、四人だからである幸せを確実に手に入れている。 ユキトの晩餐会の出席が叶った際、他の三人も招待された姿、というのが理想な姿のように残りました。 好き勝手ばかり並べて申し訳ありません。 繊細で均衡が崩れそうではあるんだけど、だからこそ貴重で、挑戦に満ちた作品を有難うございました。
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蕚ぎん恋さま レビューをありがとうございます! 嬉しくて何度も読み返しました。 ぎん恋さんの文章は、何度も読み返したり味わいたくなる文章なんです。そうやって紡がれる文章が、自分の作品のことを書いてくださっている✨というのがまず、すごく特別な気持ちになります。 ぎん恋さんが気が付いてくださったように、今作は「挑戦しよう」と思った作品です。初投稿の初作品ということもあり、何か新しいジャンルを、どこにも属さないようなものを書きたい、という意気込みがありました。 正しいとか、間違っているとか、そういう価値規範に対しても挑戦する気持ちで書きました。 だからといって故意に誰かを傷つけるような作品にはし
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