夕雪えい

胸が締め付けられるような悲恋
語り手「僕」の一人語りの形で綴られる物語は、雪女との遭遇の話から始まります。正体を喋ったら許さない、といういわゆる典型的な約束の話です。 特筆すべきはこの「僕」の語りだと思いました。なぜ物語が彼の言葉で語られていくのか……その意味は終わりになってわかるのですが、とても切ないのです。 このためにこの形で物語が綴られていたのかと思うと、巧みさにすっかり感心してしまいました。 また、短い文章の中に時代背景をさりげなく、しかしふんだんに盛り込んである点がスマートで素晴らしいです。 読了した時に、何とも切なく苦しい余韻が残る物語でした。けれどそれが素敵なのだと思います。 このお話は悲恋に終わってしまいましたが、いつかどこかでこの二人がまた出会い幸せになってくれたら……。 そんなことを祈らずにはいられないようなお話でした。
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素敵な感想をありがとうございます😭
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