稲着よふみ

黒色に対する印象ががらりと変わる
他の投稿作品もいくつか拝読して、そのたびに「登場人物が生きていて応援したくなる(物語の結末まで見届けたくなる)」と思いながら読み進めていました。 その中でも特に『夕焼け空と色彩の魔術師』に対する思いの丈が抑えられなかったため、感想・レビューの投稿も失礼いたします。 まず、美しい情景描写に圧倒されます。序盤から色で溢れていて、読み手であるはずの私まで市民美術館につながる道を歩いている気分になりました。 次に、こまやかな心理描写が涙を誘います。衝撃的な出会いから築かれる二人の関係が心に響きました。 黒色には高級感や重厚感といったポジティブなイメージもありますが、作中で言及されているように、死というネガティブなイメージが先立つような気がします。 後天的な能力に絶望しても、そこで終わらずに希望を渇望する虹花ちゃんが好きです。学校への提出物に願いを託し続けた結果、彩生さんという色彩の魔術師に救われるところで目頭が熱くなりました。 彩生さんは不審者きわまりない登場の仕方だった一方で、鋭い観察眼の持ち主であることに驚かされました。絵に対しても、虹花ちゃんに対しても真摯に向き合っているからこそなせる業なのでしょう。 また、にしし、と笑う癖がかわいくて好きです。 拝読する前は「『黒』は一つじゃない」という作者コメントに疑問を抱いていたのですが、結末まで見届けて膝を打ちました。 季節を色で感じたい時や、凝り固まった考え方をほぐしたい時などに読み返したくなる、素敵な作品だと思います。
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素敵なレヴューをありがとうございます✨  『黒』というテーマを考えた時、恐らく多くの方はネガティブなイメージをお持ちなのではないかと思ったんです。 それこそお葬式や暗い気持ち、闇とか。 けれどよく考えると黒って、色の一つであって、別に悪いイメージを持つ必要のあるものではないんじゃないかと疑問が浮かびました。 そこから色についてを調べ始めたのですが、黒の系統色って何百種類もあるんです! だったら一口に黒とは括らない物語を書こうと、敢えて色彩豊かに創ってみました。 彩生さんは色彩の魔術師の『魔術師』という部分を強く出そうと考え、少し不思議なキャラになりました。 初っ端から誘拐犯で、なんとなく
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