倉橋

https://estar.jp/novels/26250120  お陰様で100☆超えました。  この作品は研究エッセーです。  ポプラ社の「少年探偵 江戸川乱歩全集」に懐かしさを憶える人も多いと思います。ミステリーの巨匠、江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズと大人向けの通俗長編を児童向けに改作した全集で、昭和、平成のロングセラーとなりました。  元々、乱歩の通俗長編の児童向け改作を始めたのはミステリーの専門誌「宝石」元編集長で児童向けミステリー作家だった武田武彦でした。  『黄金仮面』『人間豹』『大暗室』の三作品は、武田武彦が雑誌連載した作品を単行本化しています。  『人間豹』『大暗室』はポプラ社で単行本化するにあたって分量を増やす必要があり、特に『人間豹』では一部書き替えが必要でした。  本来、単行本用の書き替えは雑誌連載した武田武彦に依頼するのが普通ですが、ポプラ社はなぜか乱歩の弟子の氷川瓏を使って、自分たちで再編集しました。  どうしてこんな常識はずれのことをしたのかは不明ですが、恐らく金の問題だと思います。武田武彦は有名作家だったので、高額の書き替え料を要求してくるのは必至でした。  ただしポプラ社が再編集しようと書き替えをしようと、元々の作品は雑誌に連載した武田武彦の『人間豹』で、武田武彦が児童向けに大幅に乱歩の原作を変更した部分もポプラ社の単行本はそのまま使っています。  ところが名張市立図書館が刊行した『江戸川乱歩執筆年譜』はポプラ社『人間豹』の作者を氷川瓏であると紹介し、評論家の中川右介に至っては『江戸川乱歩と横溝正史』の中で、乱歩が武田武彦の雑誌連載を本にするのではなく、単行本は弟子の氷川瓏が新たに執筆するようにポプラ社に伝えたと書き、氷川版『人間豹』がポプラ社から刊行されたと書いています。(なおこの人は最近、朝日新聞に出た時は「作家、編集者」と紹介されていました)  この人が武田武彦の『人間豹』を一行も読んでいないのは確かかと思います。  この人はX(TW)をしているので、こちらから意見を送りましたがきちんとした返事もありませんでした。  研究エッセーなので面白くないかもしれませんが、70数年ぶりに公開する江戸川乱歩・原作、武田武彦・脚色『人間豹』(一~三回)、それに第五章を読んで頂ければ幸いです。  真実が広まるか、僕にも分かりません。  
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