CM( --)ノノ しつこい(笑 * * * 満員の劇場に響くアイドルの歌声。 「めろみゆ メロメロ くらくら チャクラ ヒラく ヒラくよ 金のとびら」 「鬼メロ! めろみゆ!」 * * * 「あたしは別に、数字になるならギリまで脱ぐぐらい構わねぇけど?」 「脱げばいいってもんじゃないんだよ」 「だってよ! 残念だったな」 ミニスカートから露わな長い足を組み直すめろみゆに、 「な、なんだよ、『あるめろ』の趣旨はそういうんじゃないだろ」 アルマは天井を見上げた。 * * * 「こんな格好で外うろつくの? クソオワ」 舌打ちを鳴らすめろみゆに、 「ねぇ……めろみゆ……? さっき、あたしのこと、盾にしたよねぇ? ひどい、ひどいよ……。 痛いよぉ……ひどいよぉ……」 傷口を押さえながらナルが恨めしげな目線を向けた。 * * * 「他人なんか信用すんな。 自分の身は自分で守れ。 守るために金持ちになれ。 何をしてでも、誰を犠牲にしてでも、お前は生きろ」 母は疲れ果てた顔で、しかし目だけはぎらぎらと、めろみゆに毎日そう繰り返した。 * * * 「しょせんこいつも体が目当てなんだろ。 自分だけ気持ち良くなりたいだけなんだろ。 いいぜ、だったらお前をあたし無しじゃ生きられなくしてやる」 馬乗りになった男を一瞬鋭く睨みつけためろみゆは、そっと、抗うことに疲れたかのように演じながら、体の力を抜いた。 * * * 「つーかさぁ、あんたって、何考えて生きてんの? なんか目的とか欲しいもんとかねぇの?」 ストレートのウィスキーを手酌であおるめろみゆ。 「あるよ。 マップアプリで世界中を回って、気になった所にマークしたりとか」 「はあ? 暗っ! ちょ、飲めよ、隠れ陰キャ!」 アルマの顔にグラスを押し付ける。 「なんだよ、俺はいつか自分の足で世界とか回りたいんだよ」 押し返そうとグラスを掴んだが、その手にめろみゆがもう片方の手を重ねた。 めろみゆは微笑むと、思わぬ怪力でグラスをアルマの口へと移動させ、傾け、 「く、そ……!」 アルマはむりやりに飲まされ、フロアにめろみゆの高笑いが響いた。 * * * 禁忌を犯した僕らは、見えないものが見えるようになって、死ぬ。 https://estar.jp/novels/26166798
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