midori

61ページという分量を一気に読むことができました。 主人公亜紀の一人称がテンポ良く、客観的に見るとかなり重い女性の話ですが、 不思議と清涼感があります。 小説には色が溢れていました。 その場の風景に色が塗り足されていく気持ちよさがあります。 描写が達者なためでしょう。この作品でしか見られない表現も 多々あり、目を引きました。 わたしたちの日常には色が溢れていますが、 改めて意識して見る以外、あまり感じないのではないでしょうか。 けれどこの作品には、すべてが色づけされていました。 空の色、音楽の色、色という色に魅了されました。 友情でもなく、恋愛でもなく、不思議な関係を描ききっています。 もうひとりの登場人物、葛西翔太はただただ女にとって都合のいい 男性ではなく、 どうして亜紀に寄り添うのかという動機付けが、きちんとなされていました。 最後のエピソードに思わず目頭が熱くなりました。 また他の作品も拝見できたら嬉しいです。

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