●そういや自己紹介が遅れたな。俺は憑神幽人。職業は探偵でこの探偵社の社長でもある。あと死神もやってるんだ(P4)  情報の提示方法がスマートじゃありません。小説の稚拙な書き出しの代表例に「自分で自己紹介」というほとんどタブーといっていいものがあります。この作品の場合は一発目でそれをしているわけではなく、またひとり語りをしているわけでもないので、タブーとまではいきませんが、あまりにも『キャラクターブック』的な情報提示です。それにいきなり妻を娶る大胆な男の言葉としては少々律儀にすぎます。『憑神幽人だ。探偵兼社長。もちろん探偵社(ここ)のな。ついでに死神もやってる』ぐらいで伝わります。 ●手元にあ

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