【P2 続き】 「どうしたの?痛いの?」 「え?」  いつの間に来たのか、目の前にくせ毛の小さな男の子が立っていた。座り込んだ私と丁度目線の高さが合う。  辺りを見渡すが、保護者らしい人の姿は見えない。 「大丈夫?」  そう言って私の手を取った小さな手は、柔らかくて暖かくて、自然と涙が溢れた。 「泣かないで。これ、あげる」 「えっ、でも・・・」 戸惑う私をよそに男の子は「はいっ」と、私に何かを握らせた。  それはジェットコースターの乗り物券だった。 「クルンってなる時にね、お月様の兎にお願いするんだよ!」 「クルン?お月様の兎?」  男の子が言っている意味がわからず私は空を仰いだ。 見事なまで

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